親のがん、こどもに伝える
堀ちえみさんが、がんであることを公表した。いちファンとしてビックリだったことはもちろんだが、そのブログの中に書いてあったこどもへの告知について、いろいろ考えをめぐらせた。
ブログの中で、書かれていたこと。
そして車の中で、子供たちに隠さないで、きちんと説明をした方がいいのか。癌だという事は伏せた方がいいのか。ふたりで話し合いました。実は主治医となる口腔外科の先生に私が、子供たちに伝えた方が良いのかどうか、他の同じ患者さんのケースなども、多く経験されている中での意見を、お聞きしておきました。まずは上の子供から、下の子供までの年齢を聞かれました。そして仰った事。「この病気は家族の理解・サポート・協力が必要です」「場合によっては治療に長い期間が掛かる場合もあります」「子供さんの年齢的な事も考えたらばきちんと向き合って話をした方が良いと思います」あくまでご主人と話し合って決めていただく事が一番大切ですが」その話も勿論、主人に伝えました。その結果主人と私は、子供たちにきちんと、ありのままの状況を話すという、選択をしました。しかもその日のうちに、話をしようと。まず東京の実家近くに住んでいる、息子のところに夜のうちに、主人が会いに行って話してくれました。私の口からは辛すぎて、告げる事は出来ませんでした。息子は最初は絶句。顔面蒼白になったそうです。しかし暫くして落ち着きを取り戻し「正直に話してくれてありがとう」との事でした。東京郊外や他県に住んでいる、子供たちには電話で伝えてくれました。それぞれやはり、ショックを受けていたそうです。そして自宅に住んでいる、高校3年生の息子と、高校1年生の娘には、夫婦ふたり揃って、告げました。息子も動揺していました。娘にはポロポロ涙を流して、大泣きされてしまいました。「リウマチのお薬のおかげでやっと良くなって全身の痛みから解放されて」「今度は癌だなんて」「辛すぎる」でした。この言葉を聞いた夜に、私は初めて泣きました。
こどもへ伝えること。これは、想像以上に大変で難しい。告知当日にお子さん全員にお話をしたと。これは、なかなかできることではない。僕は娘にずっと言えなかった。#キャンサーペアレンツ #こどもをもつがん患者
— 西口 洋平/キャンサーペアレンツ (@nishigucci) February 19, 2019
堀ちえみ『ご報告させていただきます』https://t.co/csC2ceeOEQ @ameba_official
今はこうして、キャンサーペアレンツの活動をしていますが、告知されたときは、こどもには、全く伝えることができませんでした。
伝えたほうが良いのか、どこまで伝えれば良いのか、どう伝えればいいのか、理解してくれるのか、心配をかけないか、ストレスをかけてしまわないか。そして、ステージ4の胆管がん、5年生存率は約3%。自分が死んだとき、この子はどうなるのか。死のこと、死後のことも含めて、伝えないといけないのか。そもそも、「死」とは何なのか。「死」をこどもに分かりやすく伝えるためには、どうすればいいのか。「死」を伝えることで、さらに大きな不安や心配をかけるのではないか。
まったくわからなくなり、思考停止。
ぼくの場合、そんな感じでした。
堀さんのように、告知当日に伝えるなんて、考えもできませんでした。
今回のニュースを受けて、もちろん、がんのことや治療のこと、いろいろあるものの、一つの問題として、この親子の関係やコミュニケーションについて、がん患者の悩みがあることを理解してもらえたんではないかと思う。
がんになった瞬間に、みんな「治療」のことばかり話題にする。いやいや、それも大事やけど、仕事や趣味、楽しみ、喜び、悲しみ、その人の生活、その人の価値観を置き去りにしたら絶対にアカン。でも、そのことに気付くには、時間がかかるのも事実。
— 西口 洋平/キャンサーペアレンツ (@nishigucci) February 13, 2019
そして、親子の関係だけなく、人にはそれぞれの価値観がある。がんというものとらわれすぎて、それを見失ってはいけない。それがもっとも、がん患者が恐れることで、多くの誤解や偏見などを生むことにつながっていく。
ぼくは、ステージ4のがん患者であるが、その前に、西口洋平です。僕には僕の考えがあり、生活があり、家族があり、もちろん、生き方を選択する権利があります。そんな当たり前のことを、ちゃんと考えて、接してほしい。
キャンサーペアレンツは、そんな僕自身が「こどもへの告知」で悩んだ経験から、同じようにこどもがいるがん患者さんと話をしたい。相談したい。話を聞きたい。そんな想いから立ち上げたコミュニティサービスです。
そして、このキャンサーペアレンツに集うみなさんに幅広く聞いたはじめてのテーマは、こどもへの告知についてでした。その結果はコチラです。
(メディリード社との共同調査)
子育て世代、働く世代のがん患者には、さまざまな問題が降りかかってくる。
この親子の関係だけでなく、仕事、お金、地域、性、今後の生活、自身の親との関係、医師との相性、若いのにと好奇の目で見られる、がんになった原因を決め付けられるなど。もうそれは大変なわけです。
でも、日々生きていく中で、大変だー大変だーと言っていては、生きていけないわけです。なんとか折り合いをつけながら、生活をしています。実は、それは、がんであろうがなかろうが、関係ないことなのかもしれません。
そんなことに想いを馳せながら。自分ごととして、考えながら。そんな社会になればいいなと考えています。そのために、キャンサーペアレンツは、こういった若い世代のがん患者さんの声を社会に発信する活動を行っています。
患者さんのお話はもちろん、様々なテーマでの調査、メディアへの情報提供、リアルな場で実施するオフ会への様々な立場の方のフリー参加、企業との連携やビジネス、自らで作るプロダクトなど。
最後に、私自身の想いはコチラに。
「僕は、娘はもちろん妻よりも早く亡くなると思います。10年後20年後どうなっているか分かりませんが、今を精いっぱい生きている僕の背中を見て何かを感じて強い大人になってほしい。僕がいなくなってもそれを糧にして強くなってほしいと思います。それは、決して悪い事ではないと思っています。毎日浮き沈みはありますが、家族の支えはまた頑張ろうというきっかけになっています」
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