歩み寄る
いち患者の立場として、よく聞かれることがある。
「どのようなサポートがあれば、良いと思いますか?」
「何か困ったことはありますか?」
この質問、ぼくはいつも答えに困ります。もちろん、不安な気持ちを取り除いて欲しいし、お金の手当てはして欲しいし、家族のケアもしてほしい。仕事も無理なく働けるようになればいいし、それはもういろいろあるけど、それって、そこに自分がいない。
なにか、患者としての権利を主張しているだけみたいで、なんかしっくりこない。
そして、そんなことわかってるし、サポートできるならしてるわ!と言われそうなことばかり。
キャンサーペアレンツの活動を通じて、僕が感じていること。
それは、決して患者は患者として振舞う必要はない。つまり、患者自身もがんを取り巻く「環境づくり」に積極的に参加して、サポートする側・される側の区別なく、一緒に創るということが大事だということ。
だからこそ、リアルな「声」を発信し、一緒に考える機会をつくる。場をつくる。参加してもらう。オープンな場にする。
患者中心ではなく、患者も輪に加わって、一緒に「生活」「社会」をつくっていく。患者も患者の地位に甘んじず、そして、それぞれの立場の人がそれぞれの立場に甘んじず、みんなができることの境界線を越えていく。それが歩み寄ること。
それが実現できれば、がんを取り巻く環境は必ず変わる。すぐにではなくても、こどもの世代には、よりよい環境ができているはず。
親の責任、キャンサーペアレンツの責任として、実行していきたい。
まだまだ至らないことはたくさんありますが、地道に着実に、前に進めていきます。これからも、よろしくお願いいたします。