腹痛で死ぬ
お腹の中には、がんがある。
しかも、大きくなっている。
消化管を圧迫して、悪さをしている。
すでに、ステント(人工管)は7本ほど入っている。
お腹の調子は常に良くない。
ちょっとお腹が痛くなると、イヤな予感が脳をよぎる。
がんが悪さをして、いよいよかと・・・。
このまま痛みが増していけば、動けなくなる。
がんがいよいよ本丸を攻めてきたか・・・。
いや、このまま動けなくなると、困る。困るというか、イヤだ。
まだまだやりたいことある。
そんなことをいつも考えながら、これまでは死なずにやり過ごせてきた。
だが、これからは本気で、「腹痛で死ぬ」ことに向き合わなければいけなくなってきた。
「死」とは何なのか。
痛みや苦しみから解放されるのであれば、それはいい世界なんじゃないか。
この世とつながれなくなるのであれば、この世でしかできないことをやっておかないといけない。
この世に意思を残していけるのであれば、どのようにして残していけばよいのか。
そもそも死ぬ瞬間というのは、苦しいのか、ハレバレとした気持ちなのか、何も感じないのか。
僕のタマシイは、どこへ行ってしまうのか。
僕は死のその瞬間、何を想うのだろうか。
いや、そもそも「生」とは何なのか。心臓の鼓動があれば、それは「生」なのか。
死ぬのはなんか怖いけど、本当に怖いことなのか。
死ぬのは、痛いのか、苦しいのか。
そんなことを考えながら、今日も生きていて、一日が過ぎていく。
これからも、「腹痛」のたびにちらつくアイツと、どのように向き合っていくのか。よくわからないものをアーデモナイ、コーデモナイと考えるのは、悶々とするものの、意外と楽しいものである。
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