お坊さんの研修会
がん ~その不安と思いに寄り添うために~
私たちは普段、葬送儀礼をとおして死後の勤めを託されていますが、もっと早い段階から関わり、力になれることはないのでしょうか? そのためには、傷病者本人、そしてその家族の心情を積極的に知ろうとする必要があります。
平成28年の厚生労働省の報告によれば、日本人の 2 人に 1 人が生涯でがんに罹患し、 3 人に 1 人が亡くなるという割合となり、その数は高齢化を背景に増加しています。一方で、がんの治療法は選択肢も増えており、『がんと共に生きる』 時代になったともいえます。「がんと共に生きることは不安とともに生きる」 ということでもあるでしょう。
本分科会では、がん患者団体の代表、並びにがん患者とその心のケアを提供する精神腫瘍科の専門医をお招きし、がん患者を取り巻く不安の実情、支援へのアプローチ方法を学ぶ機会とします。苦難に立ち向かうとき、人は何を必要とし、僧侶はどのように関わっていけるのかを考えます。
このようなテーマ、目的で、お坊さんと同じ髪型をしている私が、何の違和感もないいでたちで、お話をさせていただくことになりました。
患者としてわたし、そして、専門医として国立がん研究センターの清水研先生とともに。
患者として率直にお話をさせていただき、清水先生の話にはなんどもうなづきながら、参加者のみなさんの素朴な疑問に答え、充実した時間を過ごすことができました。
本当に貴重な機会となりました。
これからも、様々な立場な方や職種の方と交流をする中で、がんに対する理解が広がること、そして、がん患者自身も理解を深めていくことで新たな生き方が見つかることもあると思っています。